(5)滑川丘の六地蔵
六地蔵とは、六道に迷い、悩み、苦しんでいる人々を救う六体の地蔵をいう。六道とは、次の六つの世界をいい、六道にはそれぞれに地蔵仏が配されている。
- 地蔵道・・・壇陀地蔵
- 餓鬼道・・・宝珠地蔵
- 畜生道・・・宝印地蔵
- 修羅道・・・持地地蔵
- 人間道・・・除蓋障地蔵
- 天道・・・・日光地蔵
六地蔵の形姿は、持ち方や印の結び方などで、異なっており一様ではない。
地蔵とは、もともとは仏教以前の、古代インドでは台地の神で、万物を包蔵し生育するという原始母神で、農耕民族の大地信仰に由来する。これが仏教に取り入れられて、地蔵菩薩となり、親しみのある比形(ビク)姿で現れ、仏の法を説き、迷い苦しむ人々を救おうとする仏である。
地蔵信仰は、平安時代の末法思想のもとで貴族の間ではやり、鎌倉時代に入ると、打ち続く戦乱から、武士や庶民の間にも広まっていった。その後、飢え、病気、間引き、娘売りや貧しい生活の中で、抵抗力のない子供たちの相次ぐ死亡などから、一般庶民の間に根強く信仰されるようになった。
滑川丘の六地蔵は、六体の地蔵が、はっきりと区別できる形姿をしていてすばらしい。しかし、何かの都合で、整理、建立しなおされたものであろうが、折角の六地蔵が、観音石仏などと入り交じって建てられているのは惜しい。
参考資料:『滑川の歴史と景勝』画像を一部転載