(16)小幡・清水地区の繍仏画(刺繍した仏画)
「如意輪観音像掛幅」 この繍仏掛幅は、東滑川町の小幡・清水地区の住民達が「遊山講」という講をつくり、古くから持ち回りにして信仰してきたものであるという。 繍仏掛幅は、相当の年代を経てきており、再三にわたり、破損部分の取除きや、補修、表装替えが行われており、最近では、平成3年8月に表装替えが行われたばかりである。 繍仏如意輪観音画像は、頭に宝冠をいただき、六臂(六本の手)で、右手第一手は右頬に当てて思惟し、第二手は軽く挙げて如意宝珠を持ち、第三手は前方に出して数珠を持っている。 左手は第一手が膝上に与願印を、第二手は蓮華を持ち、第三手はやや上に挙げて法輪を持っている。観音は、蓮華台座上に半跏跌坐し、頭部後には法輪型の円光背をもっている。 この刺繍仏画は、どこでつくられ、いつ頃、誰が入手し、信仰されるようになったのであろうか。ある人は画の表現や刺繍の様式から大陸からの渡来品であろうといっている。 また会員の一人は、大英博物館に収められている薄絹に刺繍した仏画(英国探検家スタインが、幻の都ローランで蒐集したもの)をテレビで見て、遊山講のものとそっくりであったのでびっくりしたと言っている。 この刺繍仏画がいう頃この地に入り信仰されるようになったかは、わからないが、地域の人の中には、村上水軍の子孫が追われて、この地に着いて伝えたのではないか・・・等という人もいる。
参考資料:『滑川の歴史と景勝』画像を一部転載